IRカジノ法案とは?日本のカジノのルールは厳しすぎる?

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日本のIR建設計画が浮上してよく聞くようになった「IRカジノ法案」。

正式には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」の中のIR実施法案という名前ですが、他にもIR推進法やカジノ法と呼ばれることもあります。

カジノ・ホテル・会議場・商業施設などが1ヶ所に集合した総合型リゾートのルールを定めたものです。

様々なルールが取り決められていますが、今回はカジノに焦点を当ててIRカジノ法案とは何なのか?日本のカジノのルールは厳しすぎるという意見は本当なのか解説します。

IRとは一体どんな施設なのかは以下の記事で詳しく解説しています。

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目次

IR実施法案とIR推進法

IR実施法案とIR推進法

IR実施法案(IRカジノ法案)とIR推進法はそれぞれ別の法案です。

IR実施法案IR推進法
IR施設建設に適応する法律の制定や関連機関の役割の設定・懸念される問題への対応策などをまとめたものIR施設建設整備を推進するために必要な措置などをまとめたもの

IR推進法はあくまでもカジノを設置するために、必要となる措置をまとめたものです。

IR実施法案は実際にカジノを設置する時のルールなどが設定されているので、IR推進法よりもより具体的な部分にまで踏み込んだ内容となっています。

IR実施法案はプレイヤーではなく、IR事業者に向けた内容です。

法案内容
IR区域と民間業者の選定・地方公共団体による提案や申請が必要
・国が評価、判断をする
カジノ管理委員会・カジノ運営に関連する業者を審査
・免許、許可、認証をする
・違法行為の摘発
・カジノ運営の監視
事業者への免許付与・認証・全ての要件を満たせば運営免許が発行できる
・カジノ機械、システム等すべてがチェック対象
カジノ施設設置による社会的関心事への対応・暴力団の介入や青少年への悪影響を最小限に
・地域風俗環境悪化を防止
・施設内の監視を徹底
・マネーロンダリング防止のシステムを導入
・依存症対策のための相談窓口や関連機関の設置

カジノを利用する私達に向けた法案というよりは、健全なIR施設・カジノの運営のためのルールとなっています。

やっと日本にもカジノが合法的に導入できるようになったのですが、多くのルールが設定されていて運営側も規定内での営業のために努力をしなければいけないようです。

ギャンブル依存症やマネーロンダリングなどの問題があるので当然ですね。

細かいルールが多く堅苦しい印象を与えるIR実施法案ですが、私達プレイヤーを守るための法案となっていました。

特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の全文

専門用語も多く難しい内容ですが、詳しい法案の内容が気になる人のために特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の全文を掲載しておきます。

  • 第一章:総則
  • 第二章:特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項
  • 第二章:第一節「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針」
  • 第二章:第二節「カジノ管理委員会の基本的な性格及び任務」
  • 第二章:第三節「納付金等」
  • 第三章:特定複合観光施設区域整備推進本部
  • 附則

内容はe-GOV法令検索様を参考にしています。

第一章:総則

【第一章 総則】


(目的)
第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。


(定義)
第二条 この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。


2 この法律において「特定複合観光施設区域」とは、特定複合観光施設を設置することができる区域として、別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域をいう。


(基本理念)
第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。


(国の責務)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、特定複合観光施設区域の整備を推進する責務を有する。


(法制上の措置等)
第五条 政府は、次章の規定に基づき、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、このために必要な措置を講ずるものとする。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない。

第二章 特定複合観光施設区域の整備の推進に関し基本となる事項

【第一節 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本方針】

(国際競争力の高い魅力ある観光地の形成等)
第六条 政府は、特定複合観光施設区域が地域の特性を生かしつつ真に国際競争力の高い魅力ある観光地の形成の中核としての機能を備えたものとなるよう、必要な措置を講ずるものとする。


(観光産業等の国際競争力の強化及び地域経済の振興)
第七条 政府は、特定複合観光施設区域の整備により我が国の観光産業等の国際競争力の強化及び就業機会の増大その他の地域における経済の活性化が図られるよう、民間の資金、経営能力及び技術的能力の活用その他の必要な措置を講ずるものとする。


(地方公共団体の構想の尊重)
第八条 政府は、地方公共団体による特定複合観光施設区域の整備(特定複合観光施設の設置及び運営をする事業者の選定を含む。)に係る構想のうち優れたものを、特定複合観光施設区域の整備の推進に反映するため必要な措置を講ずるものとする。


(カジノ施設関係者に対する規制)
第九条 カジノ施設の設置及び運営をしようとする者(当該カジノ施設の設置及び運営に係る事業に従事しようとする者を含む。)、カジノ関連機器の製造、輸入又は販売をしようとする者並びにカジノ施設において入場者に対する役務の提供を行おうとする者(以下「カジノ施設関係者」という。)は、別に法律で定めるところにより、第十一条のカジノ管理委員会の行う規制に従わなければならない。


(カジノ施設の設置及び運営に関する規制)
第十条 政府は、カジノ施設の設置及び運営に関し、カジノ施設における不正行為の防止並びにカジノ施設の設置及び運営に伴う有害な影響の排除を適切に行う観点から、次に掲げる事項について必要な措置を講ずるものとする。
一 カジノ施設において行われるゲームの公正性の確保のために必要な基準に関する事項
二 カジノ施設において用いられるチップその他の金銭の代替物の適正な利用に関する事項
三 カジノ施設関係者及びカジノ施設の入場者から暴力団員その他カジノ施設に対する関与が不適当な者を排除するために必要な規制に関する事項
四 犯罪の発生の予防及び通報のためのカジノ施設の設置及び運営をする者による監視及び防犯に係る設備、組織その他の体制の整備に関する事項
五 風俗環境の保持等のために必要な規制に関する事項
六 広告及び宣伝の規制に関する事項
七 青少年の保護のために必要な知識の普及その他の青少年の健全育成のために必要な措置に関する事項
八 カジノ施設の入場者がカジノ施設を利用したことに伴いギャンブル依存症等の悪影響を受けることを防止するために必要な措置に関する事項


2 政府は、前項に定めるもののほか、外国人旅客以外の者に係るカジノ施設の利用による悪影響を防止する観点から、カジノ施設に入場することができる者の範囲の設定その他のカジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずるものとする。

【第二節 カジノ管理委員会の基本的な性格及び任務】

第十一条 カジノ管理委員会は、別に法律で定めるところにより、内閣府に外局として置かれるものとし、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序の維持及び安全の確保を図るため、カジノ施設関係者に対する規制を行うものとする。

【第三節 納付金等】

(納付金)
第十二条 国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の設置及び運営をする者から納付金を徴収することができるものとする。


(入場料)
第十三条 国及び地方公共団体は、別に法律で定めるところにより、カジノ施設の入場者から入場料を徴収することができるものとする。

第三章 特定複合観光施設区域整備推進本部

(設置)
第十四条 特定複合観光施設区域の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、特定複合観光施設区域整備推進本部(以下「本部」という。)を置く。


(所掌事務等)
第十五条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する総合調整に関すること。
二 特定複合観光施設区域の整備の推進を総合的かつ集中的に行うために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
三 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する関係機関及び関係団体との連絡調整に関すること。
四 特定複合観光施設区域整備法(平成三十年法律第八十号)第九条第十二項(同法第十条第四項、第十一条第三項、第十九条第二項及び第三十五条第三項において準用する場合を含む。)又は第三十七条第四項の規定により意見を述べること。

2 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。


(組織)
第十六条 本部は、特定複合観光施設区域整備推進本部長、特定複合観光施設区域整備推進副本部長及び特定複合観光施設区域整備推進本部員をもって組織する。


(特定複合観光施設区域整備推進本部長)
第十七条 本部の長は、特定複合観光施設区域整備推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。


(特定複合観光施設区域整備推進副本部長)
第十八条 本部に、特定複合観光施設区域整備推進副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。
(特定複合観光施設区域整備推進本部員)
第十九条 本部に、特定複合観光施設区域整備推進本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣及びカジノ管理委員会委員長をもって充てる。


(資料の提出その他の協力)
第二十条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。


(特定複合観光施設区域整備推進会議)
第二十一条 本部に、特定複合観光施設区域整備推進会議(以下「推進会議」という。)を置く。
2 推進会議は、学識経験を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する委員二十人以内で組織する。
3 推進会議は、特定複合観光施設区域の整備の推進のために講ぜられる施策に係る重要事項について調査審議し、本部長に意見を述べるものとする。
4 推進会議は、前項の規定により意見を述べたときは、遅滞なく、その内容を公表しなければならない。
5 本部長は、第三項の規定による意見に基づき措置を講じたときは、その旨を推進会議に通知しなければならない。


(事務局)
第二十二条 本部の事務を処理させるため、本部に、事務局を置く。
2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3 事務局長は、本部長の命を受けて、局務を掌理する。


(政令への委任)
第二十三条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

付随

附 則


(施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。ただし、第三章の規定は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


(見直し)
2 この法律の規定及び第五条の規定に基づく措置については、この法律の施行後五年以内を目途として、必要な見直しが行われるべきものとする。

専門的な内容なので興味がない人は飛ばして下さいね。

IRカジノ法案がプレイヤーに厳しいのは本当!

IRカジノ法案がプレイヤーに厳しいのは本当!

IRカジノ法案によるカジノのルールがプレイヤーに厳しいというのは本当です。

ただ、本来は賭博を禁止しているから厳しくしているのではなく、カジノにハマってしまったことで人生がガラッと悪い方向へ変わってしまう人を出さないために制定されています。

  • 日本人はカジノ施設への入場に6,000円の入場料を支払わなければならない
  • マイナンバーカード提示による本人確認が必要
  • 1週間に3回までしかカジノ施設を利用できない
  • 28日間に10回までしかカジノ施設を利用できない
  • チップの購入代金はクレジットカード支払いができない
  • 親や親族による入場制限が可能

カジノゲームが大好きでIRが開業したら毎日でも行きたい!と思っている人、それは無理です。

日本人は週3回まで、28日間に10回までしかカジノの利用ができません。マイナンバーカードによる管理が行われているので、回数を誤魔化して入場することも不可能です。

IRカジノ法案ではカジノ施設内にはATMも設置しない決まりになっています。

簡単にお金の引き出しができてしまうと、せっかくクレジットカードでのチップ購入をできないようにしたのに意味がないですからね。

カジノ施設から出るとIR内にATMは設置されています。ただ、カジノ周辺では貸付機能がない引き出し限定のATMしか設置されません。

ギャンブル依存症対策には特に厳しい

IRカジノ法案ではギャンブル依存症対策には特に厳しいルールが定められています。

プレイヤーが気をつけていてもゲームに夢中になってしまい、自分がギャンブル依存症になりかけている・なっていることに気づかない場合もありますよね。

そこで、家族やカジノ運営者の判断により、入場を制限できるように法律が整備されているのです。

  • 家族など周囲の人がカジノへの出入りを禁止することができる
  • カジノスタッフにより感情的にプレイする人に休憩を促すことができる
  • カジノスタッフによりカジノへの出入りの制限や禁止をすることができる

この人は危ないと感じた場合に他人がスムーズに対策できるように、IRカジノ法案に盛り込まれました。

カジノの沼にはまってしまった人が「お前には関係ない!」と主張したとしても、はっきりとIRカジノ法案に書かれているので冷静に遊べるようになるまでカジノを禁止することができます。

また、カジノ施設にも専門の相談員を配置したギャンブル依存症相談窓口が設置される予定です。

外部の治療機関との連携や専門の対策スタッフの育成もしっかりと計画されています。厳しいルールの中でのカジノ利用となりますが、ギャンブル依存症のリスクは低いと言えるでしょう。

IRのギャンブル依存症対策については以下の記事で詳しく解説しています。

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海外のIRカジノ法案も日本と似ている

海外のIRカジノ法案

海外にもIR施設はたくさんありますが、代表的なIRは以下の5ヶ所です。

  • シンガポール
  • マカオ
  • 韓国
  • ラスベガス
  • ニュージャージー州

シンガポールのマリーナベイサンズやマカオのMGMマカオなどは有名ですよね。どこの国のIRもキラキラとネオンが輝き、私達に高揚感を与えています。

日本よりも早くIRを開業した海外は、カジノ法案が緩いのでは?と考える人も多いようです。

実はそんなことはありません。日本と同じように事業者や現地の利用者にはIRカジノ法案によって、営業の条件や厳しい利用制限などが設けられています。

【営業規制】
反社会的勢力の排除のためにカジノ事業者には厳格な調査が実施される。
事業者の情報以外にも銀行口座や小切手取引・クレジットカードの使用状況まで確認されます。

【入場規制】
国民IDカードによる本人確認や入場回数の制限・入場料の請求があります。
個人に対する入場制限や禁止措置もあり。

【財務負担】
カジノの利益の一定割合を財政負担として徴収する。

IRカジノ法案が海外と日本で似ているのは、日本がシンガポールを参考にIR事業を進めているからです。

シンガポールはIRによって海外からの観光客を増加させ税収を増やしたのにも関わらず、カジノ利用によるギャンブル依存症の減少にも成功しています。

日本のIRカジノ法案は、海外の成功例を真似して作られているのです。

IRカジノ法案についてのまとめ

IR開業においての法律をしっかりと定めているIRカジノ法案。

専門的な内容なので私達にとっては少し難しいですが、カジノを利用したいと考えている人は知っておいて損はありません。時間がある時に少しずつ勉強してみて下さい。

ただ、まだまだIRカジノ法案では不安点があるという意見もあり、見直しや追加が行われる可能性が高いです。

日本初となる大阪IRは現在まだ準備工事の段階で、開業は2030年を予定されているのでIRカジノ法案に大きな変更がある場合もあるでしょう。新しい情報が入った時は、その都度お伝えしていきます。

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この記事を書いた人

アドオンAYUMI たらればポーカー公式ライター

アミューズメントポーカー歴1年目の駆け出し。コーリングステーションを脱しきれていないのが最近の悩み。心理とハンドを読めるように特訓中です!

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