ブックメーカーは還元率が高く勝ちやすいギャンブルです。
そのため、様々な賭け方が考案されていますが、その中に「アービトラージ(両賭け)」という賭け方があります。
アービトラージは投資の世界で使われている取引手法で、どちらに賭けても利益が出るため、たしかに理論上は必勝法です。
しかし、アービトラージをブックメーカーで使うことは、難易度が高くリターンが小さいわりに、ベット規制やアカウント凍結などのリスクを覚悟しなければならず、割に合わない賭け方といえます。
ここでは、両賭けの具体的な手順やメリット・デメリット、リスクなどを分かりやすく解説します。
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目次
ブックメーカーの両賭け
両賭けとは、FXや株式投資などで使われるアービトラージ(裁定取引、両建て)をブックメーカーに応用した賭け方で、異なるブックメーカーのオッズ差を利用して利益を出す方法です。
たとえば、サッカーでレアルマドリードとリバプールの試合があったとしましょう。
サッカーは勝ち・負け・引き分けの三択ですが、ここではトーナメントの勝ち抜けで二択の賭けと考えてください。
ブックメーカーA社とB社で、このようなオッズが提供されていました。
ブックメーカーA社 | ブックメーカーB社 | |
---|---|---|
レアルマドリードの勝利 | 2.2倍 | 1.8倍 |
リバプールの勝利 | 1.9倍 | 2.3倍 |
この場合、A社でレアルマドリードの勝利に100ドル、B社でリバプールの勝利に100ドル賭けるとこのようになります。
- レアルマドリードが勝つと、100ドルx2.2倍で220ドルが払い戻される。賭け金の合計額は200ドルなので、20ドルの利益。
- リバプールが勝つと、100x2.3倍で230ドルが払い戻される。賭け金の合計額は200ドルなので、30ドルの利益。
どちらに賭けても利益が出ることが、分かりますね。
これがアービトラージの基本的な考え方になります。
しかし、ブックメーカーでこのような分かりやすいオッズがつくことはありません。
これほど簡単に両賭けが成功したら、誰でも儲けられるのでブックメーカーは潰れてしまいます。
実際には、このような形で両賭けが成立することが多いです。
ブックメーカーA社 | ブックメーカーB社 | |
---|---|---|
レアルマドリードの勝利 | 1.3倍 | 3.93倍 |
リバプールの勝利 | 1.42倍 | 2.9倍 |
一見すると「これでアービトラージが成立するの?」と思われるかもしれませんが、賭け金を調整するとどちらに賭けても利益が出るのです。
まず、A社でレアルマドリードの勝利3.93倍に26.54ドルを賭け、B社でリバプールの勝利1.42倍に73.46ドルを賭けます。
すると、払い戻しは以下になります。
- レアルマドリードが勝った場合は、26.54x3.93倍で104.3022ドルが払い戻される。賭け金の合計額は100ドルなので、4.3022ドルの利益が出る。
- リバプールが勝った場合は、73.46x1.42倍で104.3132ドルが払い戻される。賭け金の合計額は100ドルなので、4.3132ドルの利益が出る。
どちらに賭けても利益が出ているのが分かりますね。
このように、賭け金を細かく調整することによって、アービトラージで利益を出すことができます。
「アービトラージで利益が出るのは分かったけど、計算が面倒くさい」という方は、こちらのツールをお試しください。
大手ブックメーカーのピナクルでは、アービトラージの自動計算ツールを無料で提供しています。
ここにオッズと片側の賭け金額を入力すると、アービトラージに必要な賭け金、払い戻し金額を自動で計算してくれるのでとても便利です。
ブックメーカーのアービトラージのやり方
次に、ブックメーカーでアービトラージ(両賭け)を行う具体的な手順を解説します。
複数のブックメーカーに登録する
アービトラージは、1つのブックメーカーで成立することはありませんから、まず複数のブックメーカーに登録します。
また、登録したブックメーカーでアービトラージが成立するとは限りませんから、少なくても5つ以上は登録しておきたいところです。
アービトラージを本格的に行っている人の中には、20~30のブックメーカーを利用していることも珍しくありません。
登録した複数のブックメーカーへ入金する
ブックメーカーに登録したら、次は入金を行います。
ブックメーカーによって対応している決済方法が異なる(A社は仮想通貨に対応しているけど、B社は対応していないなど)ので、1つの決済方法で全てをカバーすることは難しいです。
したがって、決済方法についても複数の手段を用意しておかなければいけません。
また、アービトラージは成功時の利益が少ないため、ベット額が大きくなりやすく、ある程度のまとまった資金が必要です。
「アービトラージが成立したのを確認してから入金すればいいのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、それでは間に合いません。
アービトラージが成立すると、世界中のライバル達が一気にベットしますから、すぐにオッズが変動してしまうのです。
2つのブックメーカーで同じ試合、別々の勝敗(賭け項目)に賭ける
ここまで進んだら、いよいよ両賭けが成立する試合を見つけます。
後ほど解説しますが、1試合ずつ手作業で両賭けが成立する試合を見つけるのは、かなり難易度が高く現実的ではありません。
したがって、アービトラージ(両賭け)の自動売買ツールを利用したり、アービトラージを教えてくれる有料サービスなどに加入している人が多いです。
両賭けが成立する試合を見つけたら、それぞれのブックメーカーでベットを行います。
ベットが受け付けられたら、あとはどちらが勝っても利益が出ますから、試合終了を待つだけです。
これが、アービトラージの基本的な流れになります。
ブックメーカーでアービトラージを行うメリット
理論上は必勝法なので必ず利益が出る
両賭けは、理論上どちらに賭けても利益が出ますから、負けた場合の損失を考慮する必要がありません。
複数のブックメーカーをチェックして試合を見つけたり、オッズから賭け金を計算する手間は必要ですが、試合の結果を気にする必要がない点は大きなメリットといえます。
ブックメーカー初心者でも利益が出せる
ブックメーカーで安定して利益を出すためには、自分が賭けるスポーツにある程度精通している方が勝率は高くなります。
また、データサイトなどでチーム(選手)の直近の成績、相性、コンディションなどを調べて分析・予想する人もいます。
しかし、両賭けはオッズ差を調べるだけなので、データ分析は必要ありません。
「忙しくてデータを調べる時間がない」「自分の予想に自信がない」「スポーツに興味はないが、投資としてブックメーカーを利用したい」という人にとっては、確実に勝てる両賭けは魅力的に見えるでしょう
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ブックメーカーでアービトラージを行うデメリット
両賭けは、成功すれば100%利益が出ますが、長期間勝ち続けるのはかなり困難です。
ここでは、その理由とブックメーカーで両賭けを行うデメリットを解説します。
アービトラージが成立する試合を自力で見つけるのは、ほぼ不可能
ブックメーカー各社は、競合サイトのオッズを常にチェックしています。
アービトラージ状態になれば、すぐにオッズを変動させたり、一時的に賭けの受付を中止するなどの対応策を取ることも少なくありません。
また、両賭けのチャンスを狙っているベッターは世界中に存在し、自動売買ツールを利用している人もいます。
アービトラージが成立するチャンスは、早くて数秒、長くても1~3分程度しか続かないことが多いので、自力で試合を見つけて手動ベットをしているとまず間に合いません。
例えば、A社でベットした後に、B社でベットする際にオッズが変わっていたら、両賭けが成立しませんから、通常の片賭けと同じになってしまいます。
アービトラージ用の自動売買ツールは高額
手動で両賭けを行うのは難しいので、複数ブックメーカーのオッズを監視して、チャンスが来たら自動的にベットしてくれるツールを販売している業者がいます。
しかし、このようなツールは高額な上に、両賭けは成功時のリターンが少ないため、利益を出すどころか元を取るのも難しいと思ってください。
さらに、ブックメーカー側もこのような自動売買ツールに対する対策を取っており、定期的にシステムを変更させています。
ツールの販売者によっては「ブックメーカーのシステム変更に対応するためのアップデート」という理由で更新費用を請求してくるところもあり、そうなるとさらに元を取るまでに時間がかかります。
また、「絶対に勝てる新しい投資法」「ブックメーカーの必勝法を教えます」などとTwitterやLINEを使い、高額なツールを買わせようとする業者は間違いなく詐欺なのでご注意ください。
ベット規制がかかる場合がある
ブックメーカーは、アービトラージの疑いがあるプレイヤーを監視しています。
両賭けでは、ベット額が半端な数字になることが多く、アービトラージが成立した時間帯にベットしたことなども履歴からすぐに判明します。
そのようなプレイヤーに対し、ブックメーカー側がベット規制をかける場合があるのです。
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■ベット規制とは?
ベット規制とは、ブックメーカーが特定のプレイヤーの最大賭け金を制限することをいいます。ベット規制をかけられると、100円や500円といった少額しか賭けられなくなるため両賭けを行うことが難しくなります。
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さらに、ほとんどのブックメーカーでは、利用規約に「ベットを受け入れた後もブックメーカー側でベットを取消すことができる」と記載しており、賭けが受け付けられた後でも、両賭けをしていると判断されたらベットが取り消されるリスクがあります。
片方のブックメーカーで賭けを取り消されると、両賭けが成立しませんから、通常の片賭けと同じになってしまうのです。
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ブックメーカーは両賭けを原則禁止している
多くのブックメーカーが、両賭けのような賭け方(ローリスクベット、オポジットベットともいいます)は原則的に禁止しています。
こちらは、大手ブックメーカー「賭けっ子リンリン(旧10bet Japan)」の利用規約です。
両賭けのように確実に利益を出せる賭け方は、上記の「抜け穴の悪用、あるいは技術的な悪用」にあたる可能性があり、自動ツール(ボット)の使用は禁止されています。
ブックメーカーは、FXや株のような顧客同士の相対取引ではなく、業者との取引ですから、顧客の利益は業者の損失になります。
したがって、不正な賭け方で利益を出していると判断された場合には、ベット規制だけでなく、アカウント凍結や出金拒否などのペナルティが与えられるリスクを考慮しておかなければいけません。
もちろんブックメーカーは合法的に運営されていますから、普通にベットして利益を出していればアカウントが凍結されるようなことはありませんが、不正行為に対してはつねに監視しています。
※大手ブックメーカーの中でピナクルだけは「プロ歓迎」を公言しており、アービトラージを含むあらゆるベットを認めています。
ただし、アービトラージ(両賭け)は複数サイトのオッズ差を利用しますから、ピナクル以外にアービトラージを容認しているブックメーカーを見つける必要があります。
アービトラージは利益が小さく多額の資金が必要
ブックメーカーの両賭けは、1回の賭けで大きな利益を取ることはできず、FXのスキャルピングのようにコツコツと小さな利益を積み重ねていく手法です。
また、複数のブックメーカーを使用するため、まとまった資金が必要になります。
ベット規制やアカウント凍結のリスクが大きいわりに、成功しても得られる利益が小さいため、ハイリスクローリターンな賭け方と言っていいでしょう。
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今回は、ブックメーカーのアービトラージについて具体的な手順やメリット・デメリットなどを解説してきました。
両賭けは理論上は必勝法ですが、難易度が高くまとまった資金が必要で、リターンが小さいわりにはリスクが大きいということがお分かりいただけたかと思います。
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